Q&A

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久しぶりの恩田陸
この本は発売当初から本屋さんで気になっていたので見つけたときは歓喜でした。
タイトルの通り、前編がある二人の会話のみ、質問と回答のみで構成されていてト書きがまったくない本*1
章によって会話する二人の人物は代わるけど、みんなある大型商業施設で起きた原因不明の奇妙な事件に関わった人たち、ということになるのかな。
もう、恩田陸はうまいな、の一言に尽きる。
人間のずるさとか弱さとか強さとか怖さとか言葉にできないような印象とか予感とか、そういうものを書くのがほんとにうまい。
今他のレヴューを見てたら後半がいまいちってのがほとんどだったけど、私はあんまりそう思わなかったなあ。
ただ会話の形式が途中から変わってしまったのはちょっと残念な気も。
最後まで押し通してほしかったとも思う。
でもこの本の主眼はきっと事件自体にあるのではなくて人間にあるのであって。
そう考えると、登場人物のそれぞれの人生やそれぞれの抱える想いがひとつの原因不明の事件によって抉り出されていく、あるいはその人のその後の人生を変えていく過程はほんとにすごかったんじゃないかと。
兎に角一気に読まされてしまって、私の中の恩田陸ランキングでもこの本はかなり上位。
すごく出来がいいと思う。
あれだけの数の作品を作っていて、質が落ちてこないのはすばらしいなあ。
感服です。

*1:そいやラーメンズのコントで質問と答えを繰り返してくのがあったな。あれ大好き。